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企業のAIセキュリティは、一人ひとりのリテラシーとガードレールで守る

こんにちは、おぐりんです。

2026年10月7日、ソフトバンク子会社のIDCフロンティアがランサムウェア攻撃による障害を公表しました。影響範囲は495の企業や自治体。大手が提供するクラウドでも、利用企業の仕事が広く止まる事態が起きています。

前年の2025年9月にはアサヒグループ、10月にはアスクルでもサイバー攻撃が発生しました。アサヒは2026年7月に漏えいのおそれがある個人情報の範囲を更新し、アスクルは2026年8月更新の公式ページで、サービス停止とお客様・一部取引先の情報流出を説明しています。

こうした事例を見ると、セキュリティは情報を守るだけでなく、仕事を続けるための問題でもあると感じます。各事案の原因を社員一人の不注意と決めつけることはできません。そのうえで、AIにメールや資料を扱ってもらう弊社の仕事でも、何を渡し、何を任せるかという一人ひとりの判断と、会社が用意する仕組みを見直したいと思いました。

必要なのは、個人のリテラシーと会社のガードレールを両方整えること。「気をつけて」で終わらず、社内ルールと管理設定で、間違えたときの影響を小さくする仕組みを考えたいと思います。

ニュースを、会社の点検につなげる

弊社でも、ブラウザの更新、メールアドレスが過去の漏洩に含まれていないかの確認、パスワードの使い回しの見直しをメンバーにお願いしました。使っていないサービスのアカウントも、必要なデータや請求、他の人への影響を確認してから整理するように伝えています。

単に「セキュリティに気をつけよう」と言うより、何を確認し、どれから対応し、終わったらどう知らせるかまで具体的にする。実際に、メンバーから確認・変更・整理の完了報告がありました。

IPAも2026年9月に、被害企業へのヒアリングを基にした経営者向けのランサムウェア対策ハンドブックを公開しています。ニュースを他社の出来事として眺めるだけでなく、自社でできる点検へつなげるきっかけにしたいところです。

一人ひとりのリテラシーが、やっぱり問われる

フィッシングは、偽のメールやサイトでログイン情報などをだまし取る手口です。最近、弊社のSlackでも、Googleのサービスや正規通知を悪用する巧妙な手口を共有しました。見慣れたサービス名や本物の送信元だけでは、安全と判断できない例です。

スイスの国家サイバーセキュリティセンターが2026年9月22日に公表した事例では、攻撃者がGoogleの正規セキュリティ通知に自分で設定した文言を載せ、続いてサポート担当を装って電話しました。さらにGoogle Sites上の偽ログイン画面へ誘導しています。本物の通知と、Googleのドメインにあるページを組み合わせて信用させる、高度なフィッシングです。

Google Sitesは利用者がページを作れるサービスで、Google公式のログイン画面ではありません。Google自身も2024年にGoogle Sitesの悪用を報告しています。通知や電話で急かされても、そのリンクから認証を進めず、普段使うアプリやブックマークから状況を確認し、迷ったら社内で相談する。この判断を、実際の手口と一緒に共有することが大切だと思います。

AIの利用でも同じです。資料を添付するとき、その情報をこの環境へ渡してよいか。外部サービスをつなぐとき、どのアカウントの、どこまでの情報を読めるようになるか。便利さを感じる瞬間に、立ち止まれるかが問われます。

リテラシーは、ツールを上手に使う能力だけではありません。何が危ないかを理解し、判断できないときに相談できることも含まれます。研修で操作を教えるなら、使う場面に沿ってこの判断も一緒に扱う必要があると思います。

注意力を支える、会社のガードレールを作る

ただ、全員がいつも正しく判断できることを前提にするのは難しい。忙しいときにも安全に仕事を進められるよう、会社側でガードレールを作る必要があります。ここでいうガードレールは、使えるサービスや権限を絞り、迷ったときの相談先や確認の流れを用意することです。

本人の判断、社内ルール、接続や権限を制限する管理設定を組み合わせて守る図

僕は、本人の判断・社内ルール・管理設定を組み合わせて考えると整理しやすいと思っています。それぞれに違う役割があります。

守り方

具体例

任せきりにしない点

本人の判断

不審な通知に気づく。AIへ渡す情報を確認する。

疲れや忙しさ、知識の差がある。

社内ルール

入力してよい情報、利用するアカウント、相談先を決める。

書いただけでは、操作を止められない。

管理設定

使えるアプリや、接続先の閲覧・編集権限を制限する。

設定できる範囲の外には、その制限が及ばない。

例えば、AIに会議資料の要約だけを頼むなら、元のサービスでも必要な資料を読む範囲に絞る。メールの下書き作成と実際の送信を分ける。仕事に必要な操作から考えることで、本人が注意する範囲と、設定で制限する範囲を具体的にできます。

ChatGPT Businessも、契約して終わりではない

ChatGPT Businessには、会社のメンバーや設定を管理する共通の利用環境があります。これが「ワークスペース」です。OpenAIの公式案内では、メンバーやアクセスの管理などを説明しています。

会社の環境で使える接続アプリを管理者が見直すこともできます。Google DriveやSlackとの連携は便利ですが、使う必要があるものを選び、接続先のサービス側でも閲覧・編集などの権限を必要な範囲に絞ります。接続アプリの公式説明では、Businessの多くのアプリは初期状態で有効で、管理者が利用可否を変更できるとされています。

契約しただけで、自社に合う制限がすべて設定されるわけではありません。Businessで制御できる項目はEnterpriseより限られます。自社で止めたい操作や接続を、どこで制限できるか確認することが大切です。公式の管理機能の説明も参考になります。

管理設定で制限できない部分は、業務の範囲、入力してよい情報、人の確認で補います。プランを選ぶことと、運用を設計することは一続きで考えたいところです。

利用枠のために個人Proを併用すると、管理はどう変わるか

チームでAIを使っていると、利用枠が足りず、仕事が途中で止まることがあります。そこで、会社の費用でメンバーそれぞれの個人向けProを契約することも、一つの選択肢になります。

ただし、利用量を増やす判断と、会社として管理する判断は分けて考える必要があります。会社が料金を払っていても、個人Proの利用環境にBusinessの管理設定がそのまま適用されるわけではありません。OpenAIの説明でも、個人とBusinessの環境を分けて保持でき、内容も別々に扱われるとされています。

例えば、会社の環境では接続を認めていないサービスを、個人の環境でつなぐとどうなるでしょうか。利用するアプリや情報の扱いを会社側でそろえにくくなり、その分、本人の判断に依存する範囲が増えます。

個人Proを使えば社内ルールがなくなる、という話ではありません。社内ルールは引き続き守る必要があります。そのうえで、会社の設定で制限できる範囲が変わるため、認める用途と扱う情報を明確にする必要があるということです。

併用する前に、まず会社の管理環境のまま利用量を増やせないか確認する。Businessには利用枠が多いPremiumの席や追加クレジットという選択肢もあります。必要量と費用、管理の条件を合わせて比較し、個人Proを使う場合は、どの業務に使い、どの情報や接続を認めるかまで決めます。料金とプランの選び方は、ChatGPTのプラン比較記事で整理しています。

最初に、実際の仕事と利用環境を一つ確認する

会社のルールはある。でも、社員がどのアカウントで、何につないで使っているかは分からない。この状態なら、実際の仕事を一つ選び、次の点を確認するところから始めてみてください。

  • どのAIの、会社・個人どちらの環境で行っているか。

  • どんな情報を渡し、どの外部サービスにつないでいるか。

  • 会社の設定で制限できることと、本人の判断に任せていることは何か。

  • 迷ったとき、間違えたときに誰へ相談するか。

一人ひとりのリテラシーが問われるからこそ、会社として支える仕組みも必要です。「使い方を教えた」「Businessを契約した」で終わらず、実際の仕事に合わせて両方を整えていくことが、安全にAI活用を広げる土台になると思います。

AidiaのAI研修やAI顧問でも、操作の習得と、情報・権限・確認のルールを、会社の業務に合わせて一緒に考えていきます。まずは、普段の使い方と会社が想定している使い方に、違いがないかを見てみてください。

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